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作品

かえるべーす

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かえるべーす

  • 家族構成: 店主(妻)、バイトリーダー(旦那)
  • 用途: 飲食店
  • 所在地: 大分県大分市
  • 構造: 木造
  • 設計: 伊藤憲吾建築設計事務所 担当/伊藤憲吾
  • 写真: 森 悟
  • 施工: 直営
  • プロデュース: IKA
  • Copyright ©: 2024 Ito Kengo Architects All rights reserved
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かえるべーす
Kaeru base rice&riceball cafe

大分市内に建つ小さな店舗である。
住宅に隣接した駐車場内に小さな店舗の依頼を受けた。住みながら小さな商いを行うためにつくられた建築である。ここには様々な想いがあり、小さい建築には魅力がたくさん凝縮されている。視点をわけて説明したい。

「半分プロ、半分DIY」
当初はセルフビルドで出来る建築を考えたが、大工さん、基礎屋さん、板金屋さん等、プロにお願いするべきところはお願いし、塗装やクロス貼りなどは施主さんのDIYで造られた。内装デザインなどは施主さん自らが考えている。建設時より気軽さを持ち合わせることで、活用・展開も行いやすくなる。

「在来工法」
当初はDIYで出来る新しい構造体を考えたが、それは誰の為の構造体なのか?と立ち返り、最も一般的でベーシックな在来工法としている。すでにある汎用性を活かすことで、民主的な建築となった。

「ソーシャルディスタンスアーキテクチャー」
大分県内は防火系地域や法22条地域の指定が少なく、火災に対する法的制限が少ない。しかし、ここは準防火地域の住宅街となっている。隣接地から距離を取る方法で延焼の拡大に対する予防効果を高めている。技術的に燃えない壁にするのではなく、燃えない広がらない距離を取ることで、木造及び木質化を図っている。技術的な解決ではコストアップにつながることもある為、法律の精神を大切にしながら法的解釈を正しくコストバランスを計画している。

「用途地域区分に対する疑問」
都市計画で住居系・商業系・工業系と細かに分けてつくられてきた町も、安全性を図るための物ではあるが、都市が成熟する中で弊害も生まれている。時が経ち、住宅団地が過疎化し経済力が弱まると近くの商業施設は撤退する。しかし、住居系の地域では店舗がつくれないこともあり生活に不便さを生じることがある。商業と住宅は生活に切り離せないものであり、今後は分けるだけではなく、職住一体化の検討が必要ではないか。この建築は住宅と併設し小商いを行うことで近隣と暮らしを享受することを目指している。

「子育て期間の社会の接点」
男女平等は叫ばれて久しいが出産だけは絶対的に女性のものであり、育児の負担は女性が大きいことはいまだに変わらない。子育て期間に社会と距離を取れば、再び戻るときの負担は精神的に大きい。わずかな時間でも働き、外部とコミュニケーションをとることも大切であると施主は考えていた。住まいに近接した小さな建築で自分の商売を行い、社会的な自分の存在を大切にしながら、そこでコミュニティが生まれる。大切な子育ての時間を社会のブランクとしてはいけない。

「小さく、多く」
コロナ以降は大きく集まることに疑問が残り、少人数での集まりはまだ可能性があると考える。大きな建築でたくさんの人を集めるのではなく、小さな建築により多く使えばいいのではないか。この建築は汎用性が高く、特殊性が少なくコストも安定するため、増殖性が高い。モデル的建築として今後展開することを考えている。

様々な視点において可能性を感じる建築となった。小さいことは経済的負担を抑え、小商いを行うことは経済的に補助となる。住宅に併設する小さな建築は、閉じて閑散とする住宅街に賑わいを生み、生き生きとした街への一助となる。

<設計概要>
所在地/大分県大分市
主要用途/店舗

設計
建築設計 伊藤憲吾建築設計事務所
担当/伊藤憲吾、高田明日香、森悟

施工
直営工事
大工工事他 尾渡仁章
内装 施主によるDIY

写真撮影
森悟

構造・工法
主体構造 木造在来工法

規模
階数 地上1階建て
敷地面積 348.38㎡ ※駐車場の一角を利用
建築面積 13.24㎡
延べ面積 13.24㎡

工程
設計期間
2021年1月~2021年5月
工事期間
2021年6月~2021年9月30日

外部仕上げ
屋根/カラーガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き
外壁/杉板+木材保護塗料
開口部/断熱サッシ

内部仕上げ(施主DIY)
主室
床/土間床
壁/ クロス張
天井/ 構造材表し

カエルベース Instagram
https://instagram.com/kaeru_base