motion
建築家として、人として——
私たちにできること
大分県大分市の建設事務所「伊藤憲吾建築設計事務所」の活動についてご紹介します。
建築家ができるのは、家を建てることだけでしょうか? いままで培ってきた設計のノウハウと技術は、人や地域、そして地球環境にも役立てられると私たちは信じています。
地域づくりへの貢献
訪れる人や住む人に、まちの魅力を肌で感じてもらい、好きになってもらいたい———。一番大切にしたいのは、そのまちの歴史を知ることと、未来を想像すること。
だからこそ、私たちは家づくりにおいて、建築物を見た人が歴史に想いを馳せたり、まち全体に興味を持ってもらったりできるような工夫を施しています。
全ての建築物にはドキドキやワクワクが詰まっています。建築を通して、こうした価値を創造していくことは、建築家としての喜びの一つです。
町づくりの本質と実践
「住む」「働く」「人を集める」
全ての建物には、その土地に建てられた目的があります。建築家の仕事は、皆さまが建物に込める想いを汲み取り、本質的な目的を果たせる形にデザインすることです。
また、家や店舗、事務所などの建築物は、街を構成する要素でもあります。そのため、当事務所では単なる建築としてではなく、その建物があることで、地域やコミュニティにどのように価値をもたらすかを重視します。
例えば、無人駅の改修を依頼された際には、ただ駅をきれいにするのではなく、「皆が集まる場所」になるよう屋台を設置するなどの工夫を行いました。
建築を知ってもらうこと
建築は私の仕事であると同時に、自分自身の表現の場でもあります。「百聞は一見にしかず」と言うように、建築物を見ていただければ、私という人間について知っていただけるのではないか、そして、ワクワクしていただけるのではないか、と考えています。
そのためにも、積極的な情報発信を大切にしています。展示会への出展も、その取り組みの一つです。建築家として、一人の人間としての精いっぱいの表現を、多くの方にご覧いただければ、これ以上に幸せなことはございません。
環境問題への配慮
環境問題における循環対応策の原則は、「無駄な消費をしない」「長く使う」「繰り返し使う」だと考えています。そして、状況に応じ、これを柔軟に捉えることが重要です。「建築」が環境に与える影響は少なくありません。建てるとき、使うとき、解体するときに、多くのエネルギーが消費されます。
しかし、「家」は誰にとってもなくてはならないもの。大切なのは、環境に向き合い、「今、建築にできること」を考えること。
無駄のない、しっかりとした、持続可能な建築。そして、そこに新たな共用性のある価値を生み出すことが、これからの建築には必要であると考えています。
ボランティア活動
東日本大震災が起きた際、私たちは復興支援のために現地入りをしていました。とにかく、被災された方々に安心で快適な環境を届けたいという一心で活動に取り組むと同時に、災害の本当の意味を知りたいという思いもありました。
建築家としてはもちろん、まずは伊藤憲吾という一人の人間として、自分にできることを最大限しなければならない。その時に感じたこの想いは、今なお、自分の活動における礎となっています。
そして、同じ志を持つ仲間とともに、得た経験や知識を未来の建築に活かしていけると信じています。建築は、地域づくりです。これからも、大分県を中心に、人と地域に貢献できる建築を追求し、慎重に取り組んでいきます。
「命を守る」ために———
たてもの教室
東北での震災時、現地の知人に電話で「鉄筋コンクリート構造(RC構造)の3階以上への避難」を呼びかけたものの、建築の知識のない知人は、RC造の見分けがつきませんでした。建物には人々の安全を守る役割もありますが、建築の知識の有無によって、有事の際にその強さを役立てることができない場合もあると知りました。
その経験をもとにスタートしたのが、建築士による「たてもの教室」です。命を守る建築の意味を基礎からお伝えすることを目的に、建築的意味のある場所で開催しています。
「そのとき」への備えとしてはもちろん、建築の面白さや魅力を知っていただくことで、建築文化の普及にもつなげていきたいと考えています。